仮設の風
例えば僕が過ごす青春の真ん中に震災というやつが起きていたら
僕は僕の命が惜しくて、好きな子の全てを守ることができなかったのかな。
自分の事だけを考えてしまったのかな。
いつも思ってた。もし世界滅亡が来た時、大好きなあの娘を絶対に助けに行こうと!
今もその気持ちでいたいと願ってる。
青春をこじらせたような人生なもんで。
恥ずかしい。
テレビで仮設校舎で3年間過ごした生徒の卒業式の風景を見たの。
みんな、なかなか素敵な顔してた。
普通に僕らと同じように青春もしたんだきっと。そんな顔してた。
恋とか愛ってそんの簡単に形を変えたり壊れたりしないんだきっとね。
そう思いたくなったの。
だってひとりひとりすごく満足した顔をして卒業証書受け取ってたもんな。
仮設校舎で過ごした思い出は一生残るんだから。青春をその学校でしたんだ。
仮説ってくらいだからやっぱり壊れてしまうのかなあ。僕は青春が壊れる気がして寂しいな。青春の全てを注いだ校舎がなくなるのはやだなあ。寂しい…
思い出の場所ってひとつでもふたつでも多く残っていて欲しい。そう思うんだよ。
でもどうなんだろう。
校舎だけじゃなくていろんなところに思い出は落っこちてる。
一緒に歩いた帰り道の光とこか、ふたりで踏んだその町のにおいとか…
そういうのが残ってれば青春っていうのは守っていられるのかも。
昔付き合ってた人が言ってた。
3/11になるとどうしてみんな思い出したかのように言葉にするのかな。私はこの日だけこういうこと言うのはずるいと思う。
それでも口にしていいと思った。
ごめん。僕はずっと考えていたい。君のことと悲しいことと幸せなこと。