前髪がここまで伸びたらロックンロール流して勝つ

逃げんな！
何回くらい僕は自分に言ったかな。

特に中学の頃は頻繁に言ってた。

とにかく辛い想いをしてきた。無言の圧力もあった。
ヒエラルキーの底辺にいた。

最近、友達が「俺はヒエラルキーの底辺とかじゃなくて、そこからから外れたとこにいたよ」って言ってて

もしかしたら僕も外れてたのかもなって思った。

普通なら学校なんかやめてやるわ！ってなるはずだったんだけど、

なんでかわからないけど、それでも友達もいたし家族がいたし、音楽とかあったから不思議と学校に行ってた。

僕がMDプレーヤーってものに出会ったのは中学2年生。

それまでは音楽って家でしか聴けないものだと思ってた。

だから友達にMDプレーヤー借りて、ブルーハーツを外を歩きながら聴けたことが、僕にとっては大きかった。

観る景色が違って見えた。
人の顔がよく見えた。
なにもかもが澄んで聞こえてきた。

これが魔法か！って思った。

それからはできるだけ音楽を外に持ち歩くようになった。
ひとりでいる時は必ずイヤホンして、MDを握りしめていた。

その時は強かった。
本当に強い気持ちになれたの。

ひとまわりもふたまわりも大きくなるの。

劣等感ばかり感じていても、その時は勝てる！って思った。
僕の前髪がここまで伸びたら、
ロックンロール流してお前らに勝ってやる！ってなった。

今じゃその時の気持ちが魅力で、
バンドなんてもんやってる。

変装少年。誰かのそばにあるといいな。