変装少年の夢、息の仕方を思い出すこと…

そいつはやっぱりステージ上で目ん玉を剥き出しにして踊り狂いながら歌っていたんだ。


本当にすごかったと褒めてやった。


そいつは服を脱ぐと傷だらけになった身体で
満面の笑顔で


疲れた!


って僕にため息をこぼしていたね。


僕はその光景をみて、
涙が出るというか憧れという感情で満たされていくのを感じたんだ。


ドラムの上から見た景色は思ったよりもすさまじくて…


僕は君に見せてもらった景色に感謝しているんだからな。


人気者でもない…


楽器もうまくない…


人間かもわからない…


まるで黒澤監督の映画に迷い込んでしまったような気分で
僕の人生は過ぎていって…


感情の作用で簡単に身体が吹っ飛んでしまうような、


そんな世界を見せてくれた君は


間違いなく僕の応援歌として心にメッセージを刻み込んでくれたね。


昨日は本当にびっくりしちゃったよ。


だって、君が急に気がふれて暴れだすんだもの…


確かに他人からの評価は残酷なまでに僕と君をこの世界から遠ざけたからなあ…


正直、君を押さえつけているので精一杯だったなあ…


でも久しぶりだったよね。


深夜、外に飛び出して草むらの中に飛び込んで一緒に暴れたよ。


楽しかったなあ。


でもその後はお風呂に入って、落ち着いて眠れたね。


って言ってもまだ君は眠っているんだけども…


もう一人の僕はいっつも寝ぼすけさんだ。


君がつけた傷のせいで体中が痛いぞ。


でもこれも幸せの形って言っちゃおう。


自分をわかっているのは自分だけ…
他の人にわかってもらってたまるか。


君と僕が一つになれるときはいつ来るのかな…


それにしてもギターがうまくならないんだよ。


僕の性癖メトロちゃん、一緒に息の仕方を思い出してくれよ!!




こんにちは!


そろそろ、もう一人の僕の目が覚める頃だ。


音楽は緩急だ。


僕はそう思っているんだ。


こう来るだろうこう来るだろう…


そう思っている聞き手を裏切っていってこそ素敵な音楽なんであろうってさ…


それをわからない奴はクソ野郎でしかない!


うわー裏切られた!


そんな感情が巻き起こらない人はもう相手にできない。


そう、これが一年前の僕だったら言っていた言葉だよ。


今は不思議なことに違うんだ。


一緒にわからせてあげたい!


そう思えるようになっているんだ。


自然とわかるような音楽にすればいいんだなって…


正直バンドメンバーにとって自分が一番の絶対的存在でありたいっていうのが僕の願いだったけど、


それはまったく叶わなかったんだ…


とにかく僕が言いたいのは
僕の音楽にもっとドキドキして、ワクワクしてもらいたいっていうことだったんだ。


それが叶ったときに僕はやっと一つの人格に戻れると信じてるさ。



とりあえず傷の手当として自慰をさせてもらうぞ。



おやすみ…



目が覚めて、
さっき戸川純とキノコホテル見てきたんだ。


僕は恋をしたかのようだったよ。


いやーあんなに艶っぽいライブ見ちゃうと、


夜も大変だわ。