飛び込み台から飛び降りて、鳥になるのさ

そうだな!


こんなことを言ってみるのもいいのかもな。


僕は決して集団に属することはできない。


確信したのさ。


とにかくもう一回言うぞ。


集団が怖いんだ。


怖くて怖くて仕方がない。


この世界が夢であってほしいとも思うくらいだからな。



ただでさえ、一人に二つの目がついているというのに、それがさらに何倍にも増えて、僕を監視する。


これは被害妄想なんかじゃないからな。


思わず、ギターケースのポケットに入れていた、寺山修司の「ポケットに名言を」を広げて舐めるように読みまわしてみたんだ。



でもそこには今の僕を救ってくれる言葉なんて一つもなかった。


今の僕を誰も救ってくれることはないんだ。


一人ぼっちで部屋でお経のように唱えている。


飼っている犬はきれいな瞳で僕を見ているけどもね。


くるくる回る君のオシリに僕は一瞬間、我を忘れてボーっと見入ってしまっていたんだもの。



あはん。

そんな奇妙なため息が僕の口からこぼれ出て、その音を聞いた僕は、催眠術にかかったように視界が狭くなっていく…


溺れかけたところで、なんとか意識の入り口までたどり着くのだけれども、
やっぱりそこには誰も待っていてはくれないんだ。


精神のぎりぎりの狭間で、とうとう一人の黒いタイツを履いた男がふいに飛び込んで来たんだよ。


その人は僕に言った。


今だろ!
今しかないだろ!
今、今、今…


僕は今という言葉が本当に大嫌いなんだ。


まだ見えない未来を夢見るほうがとっても素敵だからな。


どうしても、今の自分を見ることなんか出来ないし、もちろん他人からも見れたもんじゃないんだ。



でもあの黒タイツに僕は憧れているんだ。


一生懸命に自分のやるべき役目を果たしているあの人を、僕はどんなに頑張っても嫌いになれないのさ。



あの人の言葉は、ほんとに心に響く何かとてつもないパワーを感じるから不思議だ。


言葉に力が宿っている。


その荒業を黒タイツは見事にやってのけてしまった。


素敵だな。


今の僕には、これっぽちも言葉に力を宿すことなんて出来やしないのにさ。


僕の吐き出した言葉によって、誰かの悩みとか人生の苦しみを解消してやったりすることが出来やしないんだもの。


こればっかしは悔しいな。


君を思っていたつもりが、気づいたら自分のためだったなんてことはよくある話さ。


やっぱり誰でも


必要とされる


ってことはいいことなんだろうな。


僕は特に人一倍必要とされているんだって実感したい、


ネヴァーランドから来たピーターパンみたい。


そんなんだよ。


容姿はどんどん子供からかけ離れて、醜くなっていくけども、やっぱり心だけは少年時代のままで生きていきたいって思ってしまうんだよ。


子供のころ見た景色って言うのは、絶対に嘘はつかないもんな。


この世で真実っていえるもののひとつだよ。




やっぱりかっこよくないと、女の子は興味って持ってくれないのかな?


それは仕方ないことなのか?


どんなに誰よりも君のためを思って言ったとしても、
僕なんかよりも優れた容姿の人間の言葉を必要としてしまうのかもな!!!


いいんじゃないか?


僕はこれからもそうやって傷つきながら、ぼろぼろになって、生きていくのもありだと思うから。


おっと空が明るくなってきた。


僕も外に飛び出して、じいさんたちとラジオ体操でもしてこようかな?






今でも犬が僕を見ていた。

やっぱりきれいな瞳だ。